Nウォームと雪の女王
今まで我が家は、掛け布団をカバーをかけずにそのまま使用していた。
例えるならこれはりんご飴をリンゴの、素のままの状態で提供してしまっているような状況のことだ。
このままでは、凍えてしまう。触れてしまったものを全て氷に変えてしまう能力を得てしまい、自分の能力を危惧して部屋に閉じこもり、なんやかんや王国の危機を迎えてしまったらどうしよう・・・・と危惧してニトリに足を運んだのだった。
店内は、年末の大掃除を迎えて駆け込んだニトリ難民であふれていた。
「お値段異状」をテーマに掲げるこの極悪企業は、値段の割に品質がいいのでついつい余分な物をカートに入れてしまうことがある。今回は同じ轍を踏むものかと額に鉢巻を巻き挑んだのだがそのハチマキはちくわぶで形成されていたようで、お目当ての掛け布団カバー以外に色々購入してしまった。
そうして両腕いっぱいのビニール袋を持ち帰路に着き、さっそくNウォームの掛け布団カバーをつけて就寝してみるとまるでサウナで両隣にミルフィーユのように重なった腹を恥ずかしげもなく露わにした巨漢が座ったときの生暖かさに包まれた。つまり死ぬほどあったかい。
たかが掛け布団と侮るなかれ、掛け布団なしの状況と比べると歴然の差。
今までが嘘のように、すぐに深い眠りについたのであった。
猫が。
そうNウォームは猫のNだったのだ。
完